小さい子を連れて電車に乗るには…
長男が2歳の時のことです。
日頃から移動手段に、電車をよく利用していました。
小さい子を連れて電車に乗るには、準備が大事です。
飽きさせないように、お菓子や本で手を変え品を変え、あやしながら、駄々をこねないようにする工夫が必要です。
大声で泣きわめかれでもしたら、周りの乗客に迷惑をかけてしまいます。
ある日のこと…
ある日、母子で主人の実家にでかける用事がありました。
片道約2時間。
長時間電車に乗るので、いつものように飽きさせないよう準備はしていましたが、本は目新しいものの方が、子供の食いつきがいいので、途中の乗り換え時に、本屋さんで買って行こうと思い、寄りました。
大規模な本屋さんで、お客さんも多く、中は迷路のようで、長男の手をひきひき、やっとの思いで子供向けのコーナーを探し当てました。
最初は、二人で一緒になって選んでいましたが、息子が1冊の本を読みだして、そこから動かなくなった為、もう少し色々見て回りたかった私は、彼の様子がうかがえる範囲で、一人で物色していました。
ちらちら息子の様子を見て、動かないな大丈夫、店の中だし限られた範囲だからと思い、息子のいた本棚の列から1列裏側に移動し、彼の大好きな車がたくさん載った薄手の図鑑があり、これにしよう決めました。
息子がいない…
そして、息子のいた場所に戻ってみると、本が床に置いてあるきりで、息子の姿がありません。
目を離してから、そんなに時間は経っていないはず、すぐ見つかると気楽な思いで探していました。
そんなに遠くに行かないと、勝手に思っていました。
でも、いないのです。
次第に焦ってきました。
もし、もしもこの本屋さんから外に出ていた場合、どうやって見つければいいのでしょう。
電車の路線が入り組んだこの大都市で。
誘拐されていたら…
迷子とは限らない、誰かに連れて行かれていたとしたら。
もう誘拐しかないような気がして、半泣きになりながら、カウンターの人に、「息子がいないんです」と訴えました。
女性の店員さんは、落ち着いた様子で、息子の服装や特徴を私に聞いてきました。
私は、服の柄と靴の模様も伝えました。
そして、迷子のアナウンスをしてくださいました。
オロオロしているしかない私。
妄想がとまらない
妄想が止まりません。
どうしよう。
なんで目を離したのか。
自分のバカ、バカ。
血の気が引いていくのが自分でも分かりました。
手が冷たくなっていました。
今でもその時の感じを覚えています。
「今日子供が着ている服はどんなですか?」
やがて、息子が誰かに抱っこされて、こちらに向かって歩いてきました。
警備員さんでした。
あの時ほど、安堵したことはありません。
警備員さんに猛烈に頭を下げまくり、お礼を何度言ったことかわかりません。
靴の特徴が決め手だったそうです。
警備員さんは、男の子一人だな、と気にして見てくれていたそうです。
あの時息子が履いていた靴は、随分思案して、値の張るいいものを買って履かせていたので、はっきりと特徴が言えたのでした。
「今日子供が着ている服はどんなですか?」と咄嗟に聞かれても、答えられるようにしておくのは、大事だと思いました。
それ以前に、子供から目を離すことは言語道断ですけれど。