「内気な娘」
娘が保育園の頃の話なのですが、人見知りが激しい事で悩んでいました。
保育園に通い始めてから一年経っても、お友達や先生に挨拶することが出来なかったのです。
自宅ではとてもおしゃべりで沢山お話し出来ましたし、地域で行われている発達の検診では、体や言語を含む発達は平均よりも早めで何ら問題ないと言われていました。
人より少し内向的なだけで、いずれ治るだろとあまり気にしないようにもしていましたが、心のどこかで気がかりなのは拭えませんでした。
そんな内気な娘ですので、運動会のお遊戯では棒の様に立ち尽くしたまま、全く動かずにいました。
本当は踊る娘の姿を見たかったけれど、最初はこんなものなんだろうな、と自分に言い聞かせました。
その年のお遊戯会でも、やはり立ち尽くしたままで少し落ち込んでしまいました。
「場面緘黙」
それを見た近所に住む一つ上の学年のお孫さんをもつ方が、クスクス笑いながら「ずっと立ったままでお人形さんみたいね」と言ってきました。
気にしない様にしてきたのに、とても悲しくて傷つきました。
インターネットで似た様な子供はいないかと調べていると、「場面緘黙」という言葉に行き当たりました。
場面緘黙とは、人前や発表など個人によって特定の場面になると声が出なくなったり、体が動かなくなる症状の事をさします。
思い返せば、家族や仲の良いお友達とならいくらでも話せるのに、保護者が行き交う廊下では挨拶が出来ず、私の陰に隠れてしまう事、運動会やお遊戯会など自分に注目される場面が苦手で固まって動けなくなってしまう事、娘はやらないのではなく、したいけど出来ないでいるのだと気付きました。
保健師さんに相談
いてもたってもいられなくなって、私は保健師さんに相談に行きました。
保健師さんはじっくり話を聞いてくださるので、私はいつの間にか泣いていました。
一度、保健師さんが娘の通う園を訪問し、園での様子も見て来て下さることになりました。
数日後の面談で、「お子さんは4歳と低年齢ではあるものの、周りをよく観察し良い事、悪い事、これをしたらこの先どうなるかを頭でしっかり考えて遊んだり、動いたりしている様子でした。知能レベルが高いからこそ、よく見て判断しなくてはと言う気持ちが生まれているのですよ。」といってくれました。
そして、もしかしたら場面緘黙症かも知れないし、そうではないのかもしれない。
けれど、お子さんの言動一つ一つを褒めて、自分に自信をつけさせてあげるところから始めてみませんか?と言ってくださいました。
育児で大切なこと
私はその言葉を聞いて、胸がスーッとしました。
それから何を言われても気にしないし、娘の成長を見守ると心に決めました。
次の年も運動会でもお遊戯会でも踊れなかったけれど、楽しかったね!と声をかけていました。
その甲斐あってか、年長になり最後の年の運動会での事。
娘は一生懸命走ったあと、笑顔でお遊戯をする事が出来ました。
とても嬉しかったです。
この事があり、育児で大切なのは、悩みを誰かに聞いてもらう事と、焦らない事なのだな、と思えました。